人と地域をつなぐ事業オンライン交流事業「ゆるやかなつながりを続けていくために」を実施しました。

人と地域をつなぐ事業と、これまで「ゆるやかなつながり」を続けてきた、港区芝地区総合支所が運営する「芝の家」のスタッフ、「ご近所イノベータ養成講座」の修了生、東京都市大学コミュニティマネジメント研究室の学生、おやまちプロジェクトのみなさんにご参加いただき、新型コロナウイルス感染症により東京都との往来が難しい中でも「ゆるやかなつながり」を続けていくため、10月4日に、これまでを振り返りながら、これからのつながりを考える、オンライン交流事業「ゆるやかなつながりを続けていくために」を実施しました。

スタジオ八百萬に集まった方、オンラインで参加している方全員でチェックインを行い、今の状態を共有して、坂倉杏介准教授の話のあと、人と地域をつなぐ事業の受講者から、受講者間の縦のつながりから始まった「おさがり子供服交換会」、4期生の同期などと取り組む「東光プロジェクト」、24時間トークカフェ置賜をきっかけに始まった「種の交流」について、話題提供があり、参加者全員で共有しました。

また、「芝の家」の今とこれから、「おやまちプロジェクト」の今とこれからについても話をしていただき、参加者全員で共有しました。「芝のはらっぱで芋煮会」や「おやまち×おきたまプロジェクト」が実施できる未来に想いを馳せました。これからの交流が今から楽しみです。

最後に、人と地域をつなぐ事業を題材に研究を進める学生から、地域活性学会で発表した内容を報告していただき、あっという間に時間が過ぎました。

講師の坂倉杏介准教授と、運営を支援していただいている前神有里さんから、次のようなコメントをいただきました。

◇坂倉杏介准教授
「今日は、この場が改めて大切だなと思っています。人と地域の受講者は、特に目的があって集まる訳じゃないことを良いと思って居て、そこで起きることが、他にはない、自分たちにとってかけがえのないことであると感じている方が多いと思います。外出や移動や交流が不自由な状況になると、目的がなく集まるということが難しくなり、まずは集まって何かを起こそうという動きができずに、何もできないとなってもおかしくないと思います。これまで育んできた、温かい関係性が、大きな物に飲み込まれて、無くなってしまうのではないか。そういうことがあってもおかしくないような、我々の事業にとっても、大きな出来事が起こっているのだと感じています。そういう時でも、すごいなと感動するのは、こういう状況でも、置賜の中で、これまでの関わりの中から、いろいろと動き始めたことがあり、こういう状況だからこそ、自分たちにできることはなんだろうと考えるエネルギーや強い生命力があることが、いくつも動いていて、むしろ成長していることが頼もしいと思いますし、そういうふうに次の時代ができていくのだろうなとも感じています。だからといって、放っておいても進むかというと、関係しているメンバーの中では進んでいくけれど、情報が届かない人には届かないですよね。いつも関係している人は関係し続けるけど、そうじゃない人と関係が開いていく機会は作りにくい状況になっている中で、こういう機会を開いていただけるのは大きいことだと思います。それぞれ熟成されていくけど、ときどきかき混ぜないと、いい感じに発酵しないということも起こるので、今日はそれぞれ育ちつつあることや、それぞれの方から半年経っての想いを、一度、かき混ぜて、他の人の想いとくっつけてみたりしながら、新しい展開も見えてくるかもしれません。最初は人と地域で起きているプロジェクトの現状報告していただき、すごいなぁって思ったり、あるいは、こういうところで悩んでいるということを聴き合ったりすることで、さらに進めていけるといいなと思っています。さらに、置賜地域の外から、置賜のことを大好きな人たちが関わることによって、大きな刺激になっていくといいなと思っています。」

「みなさん、貴重な話、本当にありがとうございました。こんな時だから、かき混ぜると良さそうだねと冒頭に話をしました。この半年どんなことをしていましたかということを話してみた結果、みなさんの心の中にいろいろな感情や思考の動きがたくさんあると思います。本当はそれをもっと分かち合う時間も欲しくなってくるし、みなさんがどんな景色を見ているのかということも聞いてみたいと思いますが、残念ながら今日は時間がここまでということで、機会があったら、八百萬に集まっている人はこの後、今日の話を聞いてどうだったみたいな話をするのは豊かな時間になると思いますし、それくらい濃く深い時間だったと感じています。事業や地域のイベント、お祭りなどは、こういったことになると中止や延期になるわけです。だけど、種の話とかは、本当に感動しますよね。まちづくりの事業は中止になったとしても、まちで暮らしているみなさんの人生は中止になったり、延期になったりしないので、どんなことがあっても、いかなる状況であっても、その状況の中でやっぱり進んでいて、その状況の中で、一番自分にふさわしい形にどんどん発展していく、その力、エネルギーが湧いていくような仲間がここにいて、ネットワークがあるのだと感じています。ここに集まって、こういう状況を分かち合っている私たちというのは、自分の生きていきたい生き方を、いかなる状態でも続けていく力をみんなで高めあっているということを感じました。また、半年後や1年後に、みなさんの話を聞きたいと思っています。今日はこのような場を作っていただき、本当にありがとうございました。」

 

◇前神有里さん
「共通しているのは、こうやってオンラインで交流することになるとは思ってなかったというところからスタートしたけど、みんな結構止まってなかったなというか、それぞれにストーリーがたくさんあって、話す時間が足りないくらい、みんな話題もあって、とても面白かったです。それぞれ、少し環境が変わったときに、初めて気が付くことがあると思いました。何かやろうと、それに向かってずっと進んできたときに、思わぬところで足止めされた時は、今やっていることを違う角度で見たりして、続けるのもいいけれど、少し違うことを始めてみたり、新たなきっかけになっていくこともあります。自分で決めたことが変わることで混乱がありますが、その混乱をどう自分で受け止めていくのかというところで、新たなイノベーションが起こっているというのが、みなさん、一人ひとりの話から感じて、こんな風にやっていきたいというのが、みんないっぱいあるのだと思いました。これから先、今思っていることが、また変わっていくかもしれないけれど、誰かとこうやって話すことで、また違う角度から考えるきっかけになることもあります。こういう時だからこそ、閉じていかずに、何か話をするとか、誰かが発信しているのを聴くということが、今まで無かった良いきっかけになったと思いました。」

 

これまで、ゆるやかなつながりを続けてきた参加者の方から、次のようなメッセージが届きました。
「懐かしいみなさんに再会でき、初めて出逢う方々とも初めての感じがしない雰囲気で交流できた嬉しい時間でした。コロナ禍で止まってしまったかと思っていたら話をしてみると全然止まってなくて、むしろそれぞれに工夫しながら様々な取り組みが進んでいて、今回楽しく聞かせていただきました。私自身は、この半年間、外出自粛でほぼ家にいる生活でした。家族以外の人と直接言葉を交わす大切さ身をもって感じています。人と逢えない期間は、手紙を書く機会が増えました。種の交流もそうして始まりました。置賜に行けなくなったけど、陽光庵の畑に一緒に蒔くはずだった種を手紙で届けました。そして、お互いそれぞれの場所で、同じ新月の日に種を蒔いたのでした。成長の過程を報告したり、八百萬にも届けていただいたりしました。育った植物の様子を見るたびに、みなさんどうしてるかなと想う時間になり、そこから連鎖的に置賜の人たち都市大の学生の皆さんの顔が自然に浮かんでくるわけです。今回はオンラインでしたが、人と地域をつなぐ事業の中で、期や立場を越えたつながりができていて、関わる人の幅が広がって豊かになっていることを感じました。都市大坂倉研のみなさんにとっても、もう一つのふるさとになっていますね。それは、大人の私たちもそれは同じです。元々違う場所に住んでいる私自身がそう思うくらいですから、その土地で育った人ならなおさらです。楽しい思い出が詰まった場所は、進学や引っ越しなどで、たとえ一時的にその土地を離れたとしても、楽しい記憶によってその場所に再び戻ってみたくなる大切な心のふるさととして心に残ると思いますし、それは地域への愛着を醸成する力になります。スタジオ八百萬で子どもが何かを壊しちゃったことも、子ども服の交換会の場も楽しい思い出、子どもにとっては新しいお友達ができる嬉しい場、東光プロジェクトにしても観光だけではない地域に根差した交流の場として、やりたいことを持ち寄って続けていければ地域の人の心の寄り処に育っていくのだと思いました。私は利用する立場ですが「芝の家」で楽しいイベントのことを考えること自体自分の楽しみですし、「芝の家」が12年間地域で多くの人々の心の拠り処になっていったのと同じように、置賜でも地域に開かれた場が生まれていくことを確信しています。そして、これからも遠距離から関わっていきたいです。ゆるやかなつながり、これからもよろしくお願いします。」

これまでに体験したことがない状況の中でも、みなさんが動きを止めずに、様々な活動に取り組んでいることを知る機会になりました。
みなさんの笑顔が自然に想い浮かぶような、ゆるやかなつながりをこれからも続けていきたいと思います。

ご参加いただいたみなさま、おしょうしな。

直接お会いして、顔をあわせて、話ができる日を楽しみに待ちたいと思います。